ご存じの様に中国のインターネット環境には検閲があります。これを潜り抜ける為のVPNや代理サーバーのサービスもあります。しかし、安易にそのようなサービスを使うと、それに伴う危険もあるのです!あなたのPC覗かれてるかも・・・
インターネット検閲とは?
GoogleやYahoo!などで検索した結果をクリックしてみたら、「表示できません」というブラウザ画面が出た事はありませんか?または表示にすごい時間が掛かるとか・・・
中国に限らず、特に社会主義の国では、自国に不利益な情報や他国の情報を遮断する為、「インターネット監視システム」を設けている国があります。国外にアクセスしようとすると、この監視システムが閲覧禁止サイトを判別して自動的に遮断します。これが「インターネット検閲」です。
これは主に国外サイトへのアクセスを監視するものですが、国内のサイトもまた閲覧を禁止しているものもあります。その仕組みは、あらかじめ禁止サイトをデータベース化して、それに該当した場合に接続を許可しないようにしているか、或は、名前を解決する為のDNSサーバーに対象サイトを登録していないケースなどがあります。
DNSとはIPアドレスと言うインターネット上の背番号と、ドメインと言われる名前(google.comなど)を紐づけするサービスです。この紐づけができていないと、インターネットアドレスを入れても目的のサーバーを探すことができないという訳です。
実はすでにネット上では「中国のDNSは嘘をつく」と叩かれているようです。
検閲を潜り抜けるには
既にご存じの方も多いと思いますが、検閲を潜り抜ける方法はいくつか有ります。VPNの暗号化技術を使ってデータを暗号化し検閲に掛からなくする方法や、公開Proxyという代理サーバーを使って、自分の所在地をごまかす方法などが有ります。
後者は、中国からのアクセスを制限しているサイトを閲覧するには効果がありますが、検閲を潜り抜ける効果としてはあまり有効的ではありません。一方VPNを使った方法は、VPNの接続先(国外)までデータが暗号化されるので、検閲を素通りします。
その為体感速度も速く感じ、専用ソフトをインストールする必要も無い為手軽に利用できるサービスです。また最近のスマートフォン(iPhoneやAndroid携帯)にもVPNの機能が搭載されているので、携帯端末からも利用できるというメリットが有ります。
意外な落とし穴
この様な検閲を潜り抜けるサービスを提供している会社も多くなりました。弊社でも「ビジ通(ビジトン)」というVPNサービスを5年前から提供しています。しかし、こういったサービスにも落とし穴が有ります。公開Proxyは無料のサービスも多くありますが、Proxy Serverにウィルスが潜んでいる可能性が高いので、十分な注意が必要です。
VPNの場合はウィルスの危険性は極めて少ないですが、VPNとはそもそも、Virtual Private Networkの略で、インターネット回線を使って社内LANの様に複数のPCを同じネットワーク帯に参加させる為の技術です。
つまり、インターネット上にLANが有るようなものですから、サービスを利用しているユーザー達のPCがひとつのネットワークとして繋がっているという事を忘れてはいけません。
通常PC同士の名前を認識し合う為に、NetBIOSという技術を用いますが、このNetBIOSがオンになっていると、繋がっているユーザー同士のPCがネットワーク一覧で見えてしまいます。見えると言う事はアクセスできるという事ですので、もし、ファイル共有設定をされたままVPNに接続すると、知らない人に共有データを公開しているのと同じ事になってしまいます。つまり誰かに覗かれる危険性が有るのです。
弊社のVPNサービスでは、NetBIOSはオフにしているので、一覧で他のPCが見えると言う事は有りませんが、既に他のVPNサービスをお使いの方は、提供側がそういう対策をしているのかなどを確認した方が良いかと思います。
いずれにしても、ウィルス対策をしっかり行い、むやみにファイル共有などを行わない環境でこの様なサービスを利用するべきです。読者の皆さまにも気を付けて頂きたく。
【この記事は、2012/9/7「中国ビジネスヘッドライン」で配信されたものです。】