中国で新たに事務所や工場を設立しようとお考えの企業様も多いと思います。
所謂『手抜き工事』というものは、どの国でもある問題ですが、その中でも今や欠かすことのできないコンピュータのネットワーク配線に関する事についてお話ししようと思います。
社内のコンピュータネットワークを「LAN」と呼び、それを繋ぐ線を「LANケーブル」と言いまが、ここ中国でもツイストペアケーブルを使った「100Base-T」によるネットワークを構築するのか一般的です。
100Base-Tの規格は、最高通信速度100Mbps、最大伝送距離100mまでというものです。
実際100mの距離を保障するには、専門業者にお願いしてRJ-45というコネクタ圧着を行う必要がありますが、素人が市販の圧着ペンチで作っても、50m以上は実際に問題無く利用できます。
しかし、手抜き工事では安い銅線を使うことが良くあり、20m先のパソコンにでさえ正常に信号が飛ばない場合などがあります。
日本のオフィスの様に、アクセスフロアを使って自由に配線できる環境なら未だいいのですが、中国の場合は、床のコンクリートに溝を掘り、そこに配線を埋め込んでしまうやり方が一般的なので、後でLANケーブルを取り換えるなんてことはまず無理だと思ってください。
こういう被害に合わない為に、LANケーブルは品質の良いものを自社で購入し、工事業者にそれを使わせるといった方法を取ることをお勧めします。
次に気を付けなければならないのが、落雷対策です。
特に亜熱帯気候にある中国南部では、落雷は深刻な問題です。
毎年今ぐらいの時期になると、大雨と落雷による被害が多発します。
中国では高層ビル以外では、避雷針はあまり見られません。
建物の外周に沿って屋上に線をはわせるタイプの「避雷線」が一般的です。
経験上この避雷線は、ほとんど効果が無いと思っていいでしょう。
その為屋外の電線などへ良く雷が落ちることがあります。
我社のお客様でも、毎年2~3社は落雷の被害を受けています。
電線に落ちた雷は、電源の線などを伝い、パソコンやコンピュータ機器を破壊することがあります。特に常時電源を入れておくサーバーや、ルーター、HUBなどへの被害が多く、HUBからLANケーブルを伝いネットワーク機器を壊すことも多いです。
この対策として、屋外の配線には、配線用合成樹脂のFEP管などを設置し、その中に線を通す事。
LANケーブルをそのまま屋外に配線するのは非常に危険です。
そして24時間稼働させる機器には、必ず落雷防止用の電源コードを利用するようにしましょう。
LANケーブルは、その品質だけでなく、配線の仕方によっては、落雷や床上浸水。ネズミに噛まれる被害などを想定し、地域の信頼できる業者のアドバイスの元で設計することをお勧めします。
【この記事は、2011/5/20「中国ビジネスヘッドライン」で配信されたものです。】