引き継ぎができない中国人

定着率が悪い上に、引き継ぎもろくにできない中国人!これ、中国人を責めてもダメ!会社の仕組みが問題・・・

中国人スタッフは、会社を辞める時、ろくに引き続きもできない!と考えている方も多いと思います。そればかりか、それまで自分が関わっていた仕事の成果物まで持って帰ってしまうという事もあります。

例えば自分が開発したプログラムや、自分がデザインしたプレゼン資料など、自分の実績となるものは全て持ち帰ってしまう傾向にあります。

これは、持ち帰って外に売ろうとか、そういう目的の為ではありません。次の就職の際の面接などで、自分の実績をアピールする為の材料になるためです。

中国では、履歴書や人柄だけで就職活動はできません。実績を重視する雇用側が多い為、自然にそういう習慣が付いてしまったわけです。なので、本人を責める訳には行きません。

また中国人は、自分が関わった仕事の実績は、自分の成果だと思っています。

つまり、自分が努力して作り上げた仕事のやり方を、後任者に引き継ぎしろと言っても、そう易々とは教えません。後輩を育てて、自分の仕事の負担を軽くしようとか、自分が去った後の会社に迷惑を掛けないようにしようなどという意識は最初から無いのです。

むしろ、自分しかできないという印象を持たせようとします。

その為、日本の様に、退社する一ヶ月前に後任者を付け、引き継ぎさせようなどという会社側の思惑は全く意味をなさないと思うべきです。

では、どうしたら社員の辞職後に仕事に影響が出ないようにできるのか?
それは、会社の仕組みで補うしかないのです。

では、仕組みとは何でしょう?
英語で言う「System」です。コンピュータのシステムに限らず、業務マニュアルとか、ISOのマニュアルなどは、全て「System」に当たります。

元々アメリカのように、多様な人種と定着率の悪い国々は、古くからこの問題の解決に取り組んできました。

これが今日では当然のようになってきたISOなどの「品質マニュアル」やコンピュータシステムの「ERP」などを生んで来た訳です。

つまり、人が替っても、会社のSystemが出来ていれば業務に支障は起こさないという理論です。後任者はそのSystemに従って業務を遂行すれば良い訳です。

日本ではなじみの薄いものですが、欧米では何十年も前から考えられてきた手法と言えましょう。

では実際に、中国で仕事をしている私たちはどうすれば良いのでしょうか?

それは、「できるだけの業務をコンピュータ化する」という事です。

契約社会であるアメリカなどでは、「品質マニュアル通りに仕事をしていない」という理由で社員を罰することもできます。しかし中国では、そもそもマニュアルに従うということすらしません。なぜなら中国人は自分自身の能力しか信じないからです。

日本では、利便性を向上させるためにコンピュータ化を進めて来ました。しかし中国では、社員を縛るためのコンピュータ化も必要なのです。

例えば、電子承認システムを導入し、休暇申請などを承認システムに入力しない限り休暇をもらえないとか、食堂のシステムに申請しない限り食事ができないとか…

業務の面でも、当日の仕事を当日中にインプットしないと昇給に影響するとか、仕事の進捗も進捗管理のシステムに入力し、目標期限までに完了しないと査定に響くとか…

この様に、コンピュータのデータで仕事をするように仕組みを作って行けば、急に辞職しても後任はそのデータを見て必然的に次のアクションを取れるようになる訳です。

人件費が安いから、機械の仕事を人にやらせるという時代はもう過ぎています。自動化やシステム化をどんどん取り入れ、人的ミスを極力無くしていくことが今は重要な課題です。
その為の投資は数年で解消できるはずです。

【この記事は、2013/4月号「香港・華南MONTHLY」に掲載されたものです。】

コメント

  1. セイサン より:

    これは、日本でも必要になるなぁ

  2. saitoh より:

    セイサンさん
    今の日本もそんな感じなのかな~?