中国の電源事情 電圧だけじゃない!日本から持ってきた機器が…

白熱電球が破裂。不安定な中国の電源。

日本の工場に余っているルータが有ったから、中国に持ってきた。変圧器を噛ませれば中国でも使えるよね! …これ大きな間違いです!中国の電源事情を把握しましょう。

ご存じの様に、日本の商用電源の電圧は、100V(東日本50Hz 西日本60Hz)。一方中国の電圧は220V(50Hz)です。日本で購入した電化製品を中国で使う場合、多くの場合は変圧器をかませて電圧を落として使うことで解決します。周波数の違いについても、インバーターなどを搭載しているのであまり意識することはありません。

特にノートパソコンや携帯電話などの充電器は、100V~240V対応のACアダプターが有り、電圧の違いを意識することなく、世界各国で使えるようになっています。

しかし、それ以外の精密機器はどうでしょうか?特にIT機器に絞って話をすると、通信機器であるルータやスイッチングハブなどは、安易に考えてはいけません。読者の皆様も経験あるかと思いますが、中国の家庭では白熱電球が破裂するという、日本では考えられない経験をしたことがあると思います。それだけ中国の電源事情は不安定なのです。

日本の商用電源の電圧変動幅は95V~107Vとされています。+/-10%にも満たない数値です。これに対し中国の電圧変動幅は、180V~270Vと言われています。+23% -18%という大きな変動幅がるのです。更に短時間内での激しい電圧変動があり、サージ電圧も入ります。白熱電球は過電圧で寿命が短くなり、サージ電圧で破裂するのです。

このような電圧事情の中で、特に微量の電流のやり取りで動いている通信(ネットワーク)機器は、最も被害を受けやすい機器だと言えます。

特に、この華南地区では、工場の建屋に避雷線は有っても、避雷針の無い建物が多く、避雷針の有るオフィスビルなどに比べると、落雷の被害は非常に多くなっています。工場への落雷で、一番事故が多いのは、ルータとスイッチングハブの損傷です。また、計画停電などで自家発電に切り替える時や、商用電源が復帰したときに発生するサージ電圧には要注意です。

火花がバチバチ!危険な中国のコンセント

更に中国のコンセントにも注意が必要です。ご存じの様に中国のコンセントは、日本と同じ、2枚の板状のもの。2本の丸い棒状のもの。3枚の板状のものがハの字型になっているものなど、どの形状のプラグでも使えるようにできています。

しかしこれがクセモノで、プラグを選ばないように作った結果、プラグをしっかり固定するストッパーが付いていません。その為、コンセントのプラグがグラグラし、接触不良を起こしたり、バチバチと火花を噴いているものも良く見かけます。この瞬間も過電流が流れている訳ですから、機器に負担を掛けているのは言うまでもありません。

つまり、電圧の変動幅、サージ電圧の起こり易さ、落雷の危険性、コンセントの接触不良など、どれをとっても日本の電源事情には劣っているということを認識しなければなりません。

このような状況下で、ただでさえサージ電圧に弱いルータやスイッチングハブなどの通信機器を、日本で購入した100V対応の機器に変圧器をかませて中国で利用するということは、壊れることを覚悟して使うという事に等しく、更に、100Vのみの機器の場合は、日本以外で利用する事については全く保障されませんので、絶対にやめるべき行為です。

弊社にも良く来るお話しですが、日本本社とVPN網を構築する為に、日本で購入したVPNルータを中国で使いたいというお話しが来ます。VPNルータは一般のルータに比べ、かなり高額な機器ですので、絶対にやってはいけません。むしろ、中国でマルチ電源のVPNルータを購入して、日本に持っていく方がずっと安心なのです。

通信機器に関わらず、壊れたら困る電化製品は、その国で保障が付き、修理可能な現地の製品を使うようにしてください。

【この記事は、2013/1/4「中国ビジネスヘッドライン」で配信されたものです。】

コメント

  1. セイサン より:

    これは、意外と14日やな。
    でも、今から中国に新たに工場などを作ることは、あまり無いんじゃ無いかなー^_^;

  2. saitoh より:

    セイサンさん
    「意外と14日」?(笑)
    もう日本から中国に進出する企業は有りませんね~
    今の中国の生産量は、どんどん減ってますからね~