システム導入の成功事例①

弊社は、華南地区に進出されている日系企業様に、各種ITサービスを提供していますが、その中からいくつかの成功事例を紹介させて頂こうと思います。
今回は、広東省東莞市に進出されたある日系の金属加工メーカーさんでの事例です。

2008年にこのお客様から相談が有りました。
生産進捗状況を管理する為に、中国メーカーのERPシステムを導入したが、やりたい事がうまく伝わらず、システム化に失敗したとの事。
そこで既存のパッケージソフトをベースに、システム開発を行う事になりました。

ポイントは・・・
①パソコンを使い慣れていないワーカーにも簡単に操作できる。
②生産の進捗状況がリアルタイムに、ビジュアル的に把握できる。
③月末の売上集計を自動的に行う。

まず①は、製造伝票にバーコードを印刷し、伝票番号を入力せずとも、バーコードを読むだけで伝票の内容が表示されるようにしました。

②は、①でワーカーが入力してくれたデータをグラフで表示し、どの客先のどのロットが、どこの工程まで進んでいるという状況を一画面で見れるようにしました。

③は、出荷担当が入力した出荷データと受注データを突合し、売上データとして会計システムに渡せるよう、エクセルに出力できるようにしました。

ここまではだいたいどこのお客様でも行う内容です。

このシステムを導入して、1年程経過した後、その後の状況を確認したところ、①で、パソコンに慣れていないワーカーにも、簡単に入力画面を表示できるよう、バーコードを導入したにも関わらず、投入と出荷だけは入力されているものの、工程の細かい進捗が入力されていない場合も有ると言う事に気付きました。

そこで、工程管理の部分については、完全に画面をリニューアルする事にしました。
イメージしたのは、銀行のATMです。

パソコンを使えないワーカーでも、銀行のATMでお金を下せる。
ならば、インターフェースをATMと同じタッチパネルにしようというものです。
工場の各工程にタッチパネルのパソコンを設置し、ワーカーは、回って来た製造伝票のバーコードをスキャン。

次に、自分の社員証のバーコードをスキャン。
これにより、どの工程で誰が入力したのかが記憶されます。
そしてワーカーは、自動的に表示された画面に、完成数量と不良品数量をタッチパネルの数字ボタンで入力するだけで操作は完了。

これなら使い慣れないキーボードも要らず、簡単に入力してもらえるというものです。
納品後の運用状況を観察しながら、次の提案と改善を常に考え、システム構築を成功させる努力をすることが、システム導入の成功のカギです。

華南地区は華北地区に比べ、中国人の教育レベルがまだ低いと言えます。
常識という言葉より、言い訳が先に来ます。

そういう特徴を理解した上で、常識が無くても成功させる為の工夫と観察が必要だと思います。

【この記事は、2011/10/28「中国ビジネスヘッドライン」で配信されたものです。】